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そしてボクは途方に暮れる

20090908
もう、かなり昔の話だ。
私は休日ともなれば、どっぷり浸れる「自分だけの場所」を探しに出歩いてた。
当時、私は砂浜の広がる海岸線に憧れていた。
三方海に囲まれた青森県であるが、岩場が多く砂浜の広がる海岸線というのはあまりないのだ。
あったとしても、海水浴客で非常に混み合っているか、手軽に行けないような場所が多く、私は人の少ない、なるべく手軽に行ける砂浜を探していた。

大きな地図で見る
冒頭の画像は、そうして見つけた数少ない場所である。地図で言うとこの辺だ。
この辺は砂浜の広がる海岸線が多いのだが、原子力な施設や、お国を守るための施設が多く、一歩間違って侵入しようものならX-ファイルな状況に遭遇しかねない場所だ。(私の妄想です。多分そんなことはありません)
そんな重要施設間に隙間はあった。車道からサクッと海岸線に侵入できる場所を発見したのだ。
そこはどうやら砂の採取場らしかったが、特に立ち入り禁止の表示も無かったし、海岸線近くまで車の走れそうな固い路面が続いていた。

私は、車道から海岸線を目指して車を進めた。どこまでも続くような青い空と海と、そして砂浜。当時の私が憧れた景色がそこにはあった。

そして、それは不意に私を襲った。
ぼーと外を眺めながら車を走らせていたので、車は固い路面から外れ砂浜にはまってしまったのだ。
このときあせらず、砂浜を突っ切ればあんな事態にはならなかったのだが、突然の事態にあせった私は、その場で車を停車させてしまった。完全にスタックである。

どうにか、ここから脱出しようと試行錯誤するが、私が憧れたきめ細かい砂浜は容赦なかった。タイヤは半分近くまで砂に埋まり、車は完全に腹を擦っていた。
それでも、車を前後に動かしながら後輪があと10cmほどで固い路面に掛かるところまできたのだが、そこからどうにも動かなくなってしまった。

ここでJAFなりなんなり助けを呼べばいいのだが、当時の私は携帯電話など気の効いたものを持っておらず、助けを呼ぶためにはあるかないかわからない公衆電話を探さなければならなかった。

あと、ほんの10cmなのだ。
私は車に乗り込み、アクセルを煽った。4千回転ほどで、一気にクラッチをつなぐ。
ドンという衝撃と共にエンストする。でも少しだけ進んだ。これを繰り返せば生還できるかもしれない。

2度・3度繰り返し、4度目、クラッチをつないだとたん、「ドン」という音ではなく、「ボン!」という音が響き、白煙が上がった。しかし、既に周りの見えなくなっている私は、そんな状況にもかかわらず同じことを繰り返す。
そして、6度目のクラッチミート。再度「ボン!」という音と煙と共に、車は云とも寸とも言わなくなった。クラッチをつないでもエンジンが吹けあがるだけである。
クラッチのご臨終のときであった。


私は車を降り海辺へと歩いた。そして砂の上に座り込む。
夏の終わりの、突き抜けるような青い空・青い海、そこに映える白い波。
後ろを振り返ると、白煙を上げるボクの車。

そしてボクは途方に暮れた。

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コメント

虎徹さん、こんばんは。
う~ん、これぞ青春!
♪大沢誉志幸 BGMでどうぞ♪

認めたくないものですね、若さ故のなんとかは・・・(笑)
でも、虎徹さん、とてもキレイな思い出になってますよ!

車トラブルというと、思い出すのはスキーに出掛けたときのこと。
都内から続く雪に既に高速はチェーン規制。早朝の三車線センターで轍にはじかれた私の車は、時速約100キロでスピン。
両側の車線を走る車、クチをあけてこちらを見つめているドライバーを回転しながら見つつ、必死の操作。
ブレーキが利かない中で、ハンドル操作にエンジンブレーキ、加えてハンドブレーキ、動力伝達を切ろうとギアをフリーに。
しかし続く回転は治まらず、センターラインのワイヤーに当たってようやく止まった次第。
車をダメにしただけで怪我もなく助かりました。

そのあとですか・・・
せっかく来たのだからと、車を預け、電車とバスを乗り継ぎ、スキーをして帰りました。

今にして思うとホントばかですね~。(苦笑)

投稿: Laddypan | 2009年9月 7日 (月) 21時03分

物凄くピンポイントで、冒頭の画像、海に向かって雄叫びを上げている後姿は虎徹さんフサフサですかーーーーっっ!!

私は車の運転免許を所持していないので詳しくないのですが(でも運転は出来るんです。大将が人気のない場所に行っては私にしつこく教え込んだんです。大将の運転する車の助手席に座っている時は80キロが遅く感じるのに、自分で運転すると、30キロで暴走してる気持ちになりました。)、Panさんと同じく、雪の中で、大将が「あ、ハマっちまったわ」と言った事がありました。

私はシッポ達とのん気に傍観してましたが、大将は後ろのタイヤの前にそこらへんから拾ってきた薪を並べて一人ゴワゴワガシガシやってました。

あ、スミマセン、クラッチの何たるかも知らないでコメしてます。

ちなみに大沢誉志幸の「そして僕は途方に暮れる」、我が家にSPがあるんですけども。

SPと言っても職場の後輩に通じない事が判明してちょっと悲しい思いをしている今日この頃です。

投稿: めり | 2009年9月 7日 (月) 22時07分

Laddypanさん、こんばんは。
よそ見で脱輪、私はニュータイプではなかったようです。

しかしPanさん、高速でスピンとは…
ご無事で何よりです。
それでも初志を貫徹されたわけですね。
これも若さ故、かな?

投稿: 虎徹 | 2009年9月 7日 (月) 23時16分

めりちゃん、こんばんは。
ちなみに冒頭の画像、私ではございません。
浮かれ具合を見事に演じ表現してくれたお友達です。

SP・LP、もう通じないのですね。
私も今度後輩に振ってみようかな?わけのわからんことを言い出すオジサン扱いされちゃうかな?

投稿: 虎徹 | 2009年9月 7日 (月) 23時24分

きっと古いヒトって思われますよ、ドーナツ盤なんて言った日には化石ですから。

…お腹が空きました。

投稿: めり | 2009年9月 8日 (火) 00時03分

この前、「おじさんの部類に片足突っ込んでるからなぁ」って言ったら、「肩までずっぽり浸かってますよ」って言われました。うぅぅ。

めりちゃん、飢えてますね。
生協さんが来るまで耐えられますか?

投稿: 虎徹 | 2009年9月 8日 (火) 07時07分

オハヨウゴザイマス。ホントにお腹空いてます。お弁当作る具材ないのでお弁当屋さんのお弁当買います。

肩までずっぽり…orz いぶし銀の魅力モケモケですね♪

今日注文書をこれから玄関に出して出社、帰って来たら玄関に食べ物が届いているハズですっ!!待ちきれないぃぃ

投稿: めり | 2009年9月 8日 (火) 08時47分

どうでも良いのですが、更に掘り下げを・・・
今の若い人たちはソノシートなんてのも知らないのでしょうね。

そいえばモノクロの写真も、カラーが褪せたものだと思ってるらしいですよ、彼らは。。。

めりちゃん、ちゃんと食べ物にありついたでしょうかね~。

投稿: Laddypan | 2009年9月 8日 (火) 17時55分

ソノシート!雑誌の付録とかについてきたやつですね。
今や、雑誌の付録にCDやDVDですもんねぇ。
でも、モノクロの話はあんまりですねぇ。

めりちゃん、お腹空いたからって、食材のまんま食べちゃだめですよぅ。

投稿: 虎徹 | 2009年9月 8日 (火) 18時24分

ソノシート!!我が家には一枚だけありました!赤いペラペラのビニールのレコード!!!

そしてそれを再生するレコードプレイヤーも、いかにも安っぽいプラスチックで。でも針を置くのはけっこう緊張の。

ちなみにその一枚だけ記憶にあるソノシートの中身は、音楽ではなくて、

「恐怖の林間学校」

とか何とか言う怪談でしたよ。…何だったんだろ、アレ。

…めりちゃんは。


…めりちゃんはっ!!

豚肉(唯一今週届いた生肉)(←後は冷凍食品)を、小松菜ともやしと共に、ガボガボと茹でて、酒と塩で食しました。

…一人だと…ほんっと、料理って単純に「食する」だけになりますよ。

虎徹さんとPanさんの奥様が、毎日美味しいお料理を作っていたら、それは絶対絶対絶対に、「自分以外の誰かが食べてくれるから」なんですよ。

さぁっ!!言うのです、「いつもありがとう!!」「美味しいよっ!!」「最高だよっ!!!!」

私なんて…自分の料理より、

紅丸のゴハンの方が気合入れて作ってますから~~~~っっ!!!!

投稿: めり | 2009年9月 8日 (火) 21時29分

>「いつもありがとう!!」「美味しいよっ!!」「最高だよっ!!!!」
言えねぇ。口が裂けても言えねぇ・・・

悲しいかな、我が家の食卓において、私だけ別メニューなのです。胃腸に負担を掛けないための。
だから・・・だから、ボクのごはんはボクが作ってるんです。

だから、↑の台詞は子供たちに言わせることにします。

投稿: 虎徹 | 2009年9月 8日 (火) 23時24分

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